セブンデイズ
宝井理人の絵の美しさは、特筆すべきものがある。絵が上手い作家、人好きのするスタイリッシュな絵柄を持つイラストレーターは多いが、美しいものを美しいものとして描き、人の心に残すのは難しい。緻密であったり、写真のようにリアルであればいい訳ではないからである。宝井理人は、繊細かつ美しく、人の心に残る絵を描く。それは、このコミックスを一読すれば解ると想う。特に主人公・弓弦が弓道場で弓を引くシーンである。ストーリーの上でも、その姿が精錬で、その美しさから冬至が弓弦に惚れ込む事になるし、弓弦が美しい男である事は大前提でもある。それを、あっさりと印象付けられるような絵を描くのだ。センスでも才能でもどちらでも良いが、それだけで物語の説得力が格段に変わった。
ストーリーは、男子高校生同士が七日間だけの恋人ごっこから、互いを本当に愛し合う恋人同士になる心の経過を描いたものである。男子高校生の七日間が如何に長く、恋人としては如何に短いか、という事を、七日間という期間を設けた事で、その日々の長短の差と、七日間の間に起こる美しい軌跡を描いている。宝井理人の絵柄はその表現においても、効果覿面であった。正直、男子高校生同士が好きだ嫌いだ何だという話は、腐る程あるが、その中では成功している特異な漫画であると想う。七日間のきらめきと、恋に落ちる力を宿すうつくしさを、じっくりと楽しむ事の出来る作品になっている。特に珍しい事が起こる訳でもないが、それが何故か心地よく感じられる作品だ。