我が青春のアルカディア
キャプテン・ハーロックシリーズの、ハーロックが地球を旅立ち、宇宙海賊になるまでを描いた作品である。夢と浪漫ばかりでなく、友情を主軸にした、人は如何に生きるべきかを問うた名作だ。キャプテン・ハーロックシリーズの前知識無しでも、単体の作品として鑑賞出来る仕上がりになっている。
ハーロックという男と、トチローという男が、実にかっこいいのである。一口に言うなら、侍の魂を持った二人だ。例え人から疎まれようと、半身が裂けようとも、何があっても友情と約束は必ず守る、という心意気が、常に物語に一本筋を通している。ハーロックとトチローの前世、第二次世界大戦中の二人も描かれるが(それぞれドイツのパイロットと、日本人のメカニックであった)、中心となる世界でも前世でも、舞台は”負ける事がほぼ決定的となった戦乱の中にある国(星)”の上で、それでも夢を追い、友の為に戦う姿には、胸をときめかせざるを得ない。決して精神を折る事がない強さがそこにある。
ハーロックは地球の軍人であったが、宇宙からの他の星の人類による侵略により、地球は敵軍下に置かれる事になる。ハーロックは戦艦の操舵技術や軍人としての頭脳を買われ、敵軍に入る事を提案されるが、決して阿らない。自らが生きるのは、成すべき事を成す為であって、生命を長らえる事にはない、という意志が一貫しているのである。
また、松本零士の美学というか、一つの星の生命体・種としての意義のようなものも垣間見れる。トカーガという人類に相当する知的生命体が、地球にもやってきた他の星からの侵略によって滅亡の危機に瀕している星の人々が登場するのだが、その星で唯一の女性(幼い少女)が亡くなった瞬間に、我々の星の人類の滅亡が決定した、と老人達が悲しむシーンがある。生命の儚さに対する視点や、一つの星に棲む生命、その母星を失う哀しみといった観点がぎゅっと詰まったシーンのように想う。
登場人物達殆どが、皆強い心を持っている。強い意志を持ち、侍のように生きるりりしい姿がとても眩しい名作である。